顧客ニーズによりそう企業
白黒フィルム、今秋に販売再開へ 愛好家の要望受け富士フイルム
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190610-00000062-kyodonews-bus_all
フィルムカメラを知っている方もいらっしゃると思いますが、実際に手に取って写真を撮影したことのある人はかなり少ないのかもしれません。現在、カメラといえばデジタルカメラといっても言い過ぎではないでしょう。コンパクトタイプから一眼レフタイプまで、ほとんどのカメラがデジタルカメラになっています。フィルム販売を復活させる富士フィルム、愛好家にとってはとてもうれしい情報だと思います。富士フィルムの企業意識を見たような気がします。
フィルムカメラとデジタルカメラ
フィルムカメラは写真を撮影する際に、写した写真を保存する場所としてフィルムを使用します。数十年前の主流であるフィルムは、24枚撮り用や36枚撮り用などのサイズ、光に対する感光度の違いなどといくつかのパターンで販売されていました。自分がこれから撮影するであろう状況に応じてフィルムを買い込んだものです。
フィルムに撮影するため、撮影した写真は現像するまで見ることができません。現像して初めて成功した写真や失敗した写真を見ることになります。現像にもフィルム購入費用とは別に現像代がかかります。かつては数十円台であった記憶があるのですが、失敗写真であっても現像代はかかりました。
現在の主流であるデジタルカメラでは、本体についたモニターで撮影した写真をその場でチェックし、失敗であればすぐに削除することができます。また、撮影した写真を家庭用のプリンターなどで手軽に印刷することもできます。デジタルカメラで撮影した写真は内蔵されたメモリや、挿入したメモリーカードなどに保管されます。撮影する枚数でメモリーカードのサイズを選べばいいのですが、削除して撮影しなおすことも簡単にできますから、それほど大容量でなくても問題はおこりませんね。
コンパクトでしかも何度でも撮り直しができ、自宅で手軽にプリントアウトできる。各家庭に普及したパソコンで画像編集までできてしまうところから、その利便性が注目され、デジタルカメラ主流のカメラ市場になったのでしょう。
フィルムカメラ愛好家の存在
不便とも思えるフィルムカメラですが、その一瞬のタイミングを大切にし、撮り直しをすればいいという感覚ではない撮影スタイルを好む愛好家がいます。撮影した写真の写りもデジタルカメラよりフィルムカメラを好む方もいらっしゃいます。
フィルムカメラだけを持っていても、その保存手段であるフィルムがなければ宝の持ち腐れでしかなかったのです。
大量販売を目的としない企業戦略
大量生産、大量販売で薄利多売という方向性も企業戦略として大切な考え方の一つです。ただ今回のフィルム販売の復活を決めた富士フィルムの戦略とはどのようなものなのでしょうか。
一部のフィルムカメラ愛好者のために、顧客に寄り添いたいという意識もあるでしょう。現在のデジタルカメラ市場が飽和状態であるための方向性転換の意味合いもあるでしょう。
富士フィルムはカメラやフィルム分野だけではなく、さまざまな分野に進出し、成功をおさめ続けている優良企業だと思います。このフィルム分野の復活がカメラ撮影の世界をどんどん広げてくれるものではないかと感じます。